テキストサイズ

夜会で踊りましょ!!

第13章 翼女、一人思う

(あの笑顔…いい…)
 不意に柾季の笑顔を思い出す。

いつものように、妄想をし始める。
(攻めの柾季くんと受けの歩睦くん)


  いいだろ…

  うん…

仮想カップル柾季×歩睦を展開し始める翼女。


  …………


  …………



(うーん…広がらない、イメージが…柾季くんの笑顔からじゃ、エロ画を想像しづらい…)
 さっき描いたラフ画をめくりながら、ため息を一つつく翼女。 


(いつもなら…こう…あーして、こーして、あーなって…てイメージわくのに…)
 自分は腐女子である事をしっかり認識している翼女。


 そのため、妄想できないのが、気持ち悪い。


(考えれば考えるほど、胸のあたりが、チクチクする。なんだろう…この痛いまではいかない間隔…)


 胸に広がるチクチクの意味もわからず、気持ち悪い。


(きっと、柾季くんというリアル男子を見すぎたせいだな!)

 一つの結論を無理やり持ってきた。


(柾季くん以外の男の子の顔も…もっと色々みたいなー)
 電車の中の人たちを見回す。


 少し離れた所に数人の男子生徒が携帯ゲームを覗きながら座っている。


(あんな、感じの男子見てると、最近目が合うのよね…絶対、怪しまれてる…)


(男子と目が合うの怖いのよね…いろいろあったし…)
 小学校の頃を思い出して、落ち込む翼女。



(ゆっくり観察できるのお父さんたちくらいだもんなー)
 自分の父親を思い出す。


(でもあの二人は大人だから…私が知りたい表情出さないからなぁ)



≪次は阿利岡です…≫

(とりあえず、家に買って、晩御飯つくらないと!)
 席から立って、ドアの前に向かう翼女。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ