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夜会で踊りましょ!!

第13章 翼女、一人思う

「翼女ちゃんも、ごめんね…つい、習慣で…」
 佐藤は自分の手の甲を自分の手でペチペチ叩きながら言う。

「いえ、私も変な顔してごめんなさい」
 翼女は恐縮した顔でいる。

「翼女、こいつに謝らなくていい」
 慎太郎は少し冷めた目で見ている。

「あ…慎太郎…」
 佐藤は泣きそうな顔。


二人はとっても、仲がいい。

(お父さんが、あんな顔するのは佐藤さんだけだもんなぁ)

よく、二人でお酒を飲みに行く。

『大人の友達』と二人は言う。


(『隠せてる』と思ってるみたいだけど、わたしはもう知ってるのよ)


二人で隠れてキスしてる。



(だけど、私は気づいかないふりをしててあげる。だって、お父さんも幸せにならないと…)



 翼女がニコニコ顔で二人を見ていると、慎太郎がハッとした顔をする。



「タチバナ様とは、そんなに大事なものなのか?」
 慎太郎が佐藤に聞く。


「大事っていうか、子供から大人への通過点を言うか、昔の元服の名残だったかなぁ、
まー要するに、大人になる準備を今からしますみたいな、感じかな?…
あぁ、慎太郎は地元じゃないから知らないんだ…」

「ああ、浴衣でお祭りに行くくらいに思っていた」

「駄目だよ!橘さまの浴衣って女の子の勝負服だよ 、普段見ることのないうなじや、ちょっとした仕草で印象が変わる。気になる子とかにアピールするまたとないチャンス!」
 佐藤は熱く語る。


(気になる子!)
 翼女の脳裏に柾季の顔が浮かんできた。


「翼女も気になる子がいるのか…」
 慎太郎がミルをそっと台において、翼女を見据える。

「え?気になるって、遥香ちゃんの浴衣はどんなのかな…」
 ごまかす翼女。

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