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夜会で踊りましょ!!

第16章 浴衣を着るまで…

 翼女はカンターの中に引っ込むと同時に、二人が見える棚の間に入る。

(ふふ♡お父さんと佐藤さんっていつ見ても、絵になるBL的に!!)

 心の声が本当の声になりそうな勢いで駆け巡っている。


(なに…話しているんだろう…)


 翼女は大人二人の会話を勝手にアフレコしてみる。

  『やっと、二人になったね♡』

  『そんなこと言うなよ、あの子には秘密にしている…』


  『いつまでも、こんな関係いやだもん。少しくらいいいでしょ?』

  『そんな事言うなよ。今日のお前変だぞ?」

  『偶には、少しくらい刺激があってもいいでしょ。結構ドキドキした?』

  『ドキドキねー』


(あ!お父さんこっち来る!)
 翼女はあわててその場所から出る。


(やばい!何か言い訳考えないと…そうだ、電話してた!そう言う事にしよう)
 ポケットから携帯を出して、遥香に電話を掛ける。

  「もしもし!」

「あ、遥香ちゃん?わたし翼女…今いい?…聞きたいことあるんだけど…」


  「んーなぁに?」


「”橘様”のとき美容院いく?髪形とか着付けとか…どうしたらいい?」

  「いく人はいるんじゃないかな?」

  バンバン
 コーヒー豆の棚をバンバン叩く音が聞こえた。


「!!」
   「何の音?」

「豆の棚の方から…なにか落ちたのかな?『お父さん?どうしたの?』」
 翼女が父に声をかける。


「大丈夫だ。心配ない」
 いつもの慎太郎の声が答える。

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