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夜会で踊りましょ!!

第16章 浴衣を着るまで…

「ねー遥香…」
 爽果が呟く。

「んーなんです?」
 髪を引っ張られているから、変な返事をする遥香。

「あの子、心の声こぼれてる時あるけど、大丈夫?」
 翼女が鞄の中身を出している、後姿を小さく指さす。

「心の声?」
 遥香の頭には?マークが出ている。


「… … … …ふぅ…」
 爽果は、鏡越しに遥香の顔をみて、肩を落とす。

「爽果姉さん?」
 遥香が不安な顔をする。

「遥香は天然培養か…いい、忘れて!私の方がおかしいのよね。さ!チャチャと姫に変身よ!」
 気分を切り替え、爽果がメイクブラシをかっこよく持つ。

「はい!よろしくお願いします」


翼女視点

(今度は、遥香ちゃんの番ね。私はここに、座っていいのかな?

立ってた方がしわにならないか…でも、中だしなぁ、あんまり動くと、髪とか爪とか気になるし、

ただ待っているのもつまらない…あ!帯止めとか飾りだしておこう)

 部屋の隅に置いていた鞄の中から、小物を出し始めた。


「姉さん…」

「チャチャと姫に変身よ!」

「…はい。よろしくお願いします」


 翼女は、二人が楽しそうに話しているのを横目で見て笑っていた。

(遥香ちゃん楽しそう。

私、遥香ちゃんの笑顔好き。こっちまで、楽しくなる…


いいなぁ。私も…もっと笑えればいいけど…)



(あ、クッキー…)

 鞄の中に、きれいにラッピングしている。円柱形の箱を取り出した。

(渡しそびれちゃったなぁ、後でお礼と一緒にわたさなきゃ…)

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