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夜会で踊りましょ!!

第16章 浴衣を着るまで…

佐藤仁識 視点


「で、遥香ちゃん?のお母さんが全部してくれるの?」
 俺は素朴な疑問を投げかけてみた。

「!翼女。お前の分も頼んだら、菜畑さんに、負担が多くないか?」
 珍しく、他家の人を心配する慎太郎。


(おやっ?翼女ちゃん以外で、素の顔が変わった…)


「大丈夫だよ。その日知り合いの人が家に来てくれるみたい…」

「知り合い?女の人?男の人?」
 慎太郎の眉がピクッと動く。


(?? そこ、気になるの?)



「女の人。遥香も知っている人でね。綺麗な人なんだって」
 翼女がニコニコ話している。


「そ、そうか…遥香ちゃんも知っている人なのか…」
 慎太郎がホッとしたような微笑みを浮かべる。


(笑った…俺には笑ってくれないのに…娘は特別なんだな…)


「女の子なら”お父さん”も安心だね♪」
 仁識がワザと笑顔で話に割り込む。


「あ、安心…そうだな…安心する」
 慎太郎がはにかみながら言う。

(はぁー、嫌味ですけど!!

それになんだよ。俺の親切は邪険にして、そのナバタ?の家族には感謝するのかよ!!!!)
 文句が口からこぼれないように、コーヒーを口にする仁識。

「いつも菜畑には、世話になりっぱなしだな。ちゃんと、挨拶とお礼はするんだぞ」

「はーい。わかってる」



(それに、今の口調だったら、父親の方に感謝みたいだし、いや、意味通り、父親に世話になってる?

あ!もしかして、母親の方も好みとか!


なんだかんだで、『娘がお世話になってます』感、出して、お家とか訪問するんだろ!

……


俺は蚊帳の外かよ…)
 自分で自問自答して、テンション落とす仁識。

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