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夜会で踊りましょ!!

第3章 柾季の思い

「じゃ、ココに付いたら電話するから、出てきなさいよ」
 運転席の窓開けて母が言う。

「うん。わかった」
 柾季はうなずく。

 母の車が駐車場から出て行く。
 柾季は手を振っている。

「よし!今の時期ならドウダンツツジが咲いてないかなぁ」
 柾季はお目当てのツツジを探しに公園に入っていった。


「おー!ヒラドツツジ満開だなぁ…あ!クルメツツジだ!いい色だぁ」
 柾季は白やピンクの大輪のヒラドツツジをツンツン触りながら、遠くに咲く朱色のクルメツツジをみて、興奮気味。


「アレは藤?桐の花?どっちだろう?」
 少し離れたところに紫色が見える。


 歩いていくと、そこには藤棚があった。

「藤だったのかぁ…風に揺れて綺麗だ」

 その藤棚の中に、誰か座っていた。


(あ、誰かいる…)
 歩くスピードを抑えて、藤棚に近づく。

(あ、女の子…)
 中の人をチラッと見ると、ふわっとした服を着たの女の子だった。

 藤棚の隙間からやさしくこぼれる日の光を頭に受け、髪の毛がキラキラ光っていた。

 その女の子は中のベンチに座って、スケッチブックに何か書いていた。

「!」
 女の子は柾季が側にいる事に気が付くと、慌てて荷物を持つと走って藤棚から出て行った。

「え!あ…」
 柾季は立ち止まっている事に気付いた。

(邪魔しちゃったな…)
 走っていく女の子の背中を見ている柾季。

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