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夜会で踊りましょ!!

第3章 柾季の思い

「あ、だめだよ!」
 柾季は、女の子の側に行く。

「あ!だ、大丈夫です…」
 慌てて、無理に髪を引っ張る女の子。

「だから、そんなことしちゃダメだよ!この木はザクロって言って、枝や葉にトゲがあるんだ。無理に引っ張ると、余計絡まるよ」
 手際よく、女の子の髪をやさしくほどく。

「すみません…」
 女の子は目をグッとつぶって、固まった。

「もうちょっとだからね、ジッとして…」
 柾季は、女の子の髪と枝をゆっくり、そして確実にほどいた。

「よし!お疲れ様」
 柾季は笑顔で女の子に言う。

「あ、ありがとうございます」
 女の子は柾季を見上げて、笑顔になる。

「他に怪我はない?」
 柾季は何気なく、肩を触る。

「ひゃ!」
 女の子はビクッと身体を振るわせ、座り込む。

「あ、肩打ってるの?」
 柾季は慌てて、手を離す。

  ピピピピピッ
 柾季の携帯がなる。

「あ!『もしもし…』」
 携帯に出る柾季。

  「柾季、駐車場きたよ」
 母の声が聞える。

「あ、うん。直ぐ行く」
 柾季はペタンと座り込んだ女の子が気になる。

 女の子は大きなスケッチブックを膝をつけたまま拾うと、立ち上がる。

「あ、あの、ありがとうございました…」
 女の子は一礼して、走っていった。

「あ、ちょっと…気をつけてね」
 柾季は携帯を持ったままその女の子を見送る。

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