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夜会で踊りましょ!!

第3章 柾季の思い

  コンコンッ
 柾季の部屋のドアをノックする音かした。

「はい」
 ベッドに寝転んだ状態で返事した。

「ボン!!夕食の準備が出来ました!」
 一夫の声だった。

「ああ、分かった」
 ベッドから起き上がり、大きく背伸びをした。

 少し眠っていたのか、あくびもする。

 廊下を通り、階段を下りて、一階の居間に行く。

 数人の男性が食器やオヒツを運んでいた。

「今日はなに?」
 運んでいる料理を覗く。

「魚かぁー」
 おかずを見てハーとため息。

「肉食べたいな」
 ブツブツ言いながら、部屋に入る。

 居間には着物姿の老人が一番上座に座っていた。

 柾季の席はその右隣。

「ボン、どうぞ」
 座るとささっと、ご飯のよそわれた、茶碗を渡された。

「あぁ…ありがとう」
 茶碗を受け取る。

「お父様、ただいま戻りました」
 部屋に柾季の母が着物姿のままで入ってきた。

「ご苦労だった。花はもう活けたのか?」
 笑顔で迎える祖父。

「はい」
 柾季の向かいに母が座る。

「よし、食事にする」
 母が座るのを確認すると、老人が合掌する。

「はい、いただきます」
 席に座っている全員が合掌して勢いよく食べ始める。
 食事を一緒に食べているのは、祖父。母。住み込みの従業員達。現在は八人。その八人が当番で給仕をする。

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