夜会で踊りましょ!!
第7章 遥香と歩睦の夜中の…
「無理なんかしてないけど…
翼女ちゃんさ…
最初の頃、話どころか、顔さえ上げてもらえなくて…
どうしていいか分からなかった…
でも、歩睦とは話しているだろ…
歩睦みたいに話かけたら、大丈夫なのかなって、
手本にしてみたら、少し話せて、
最近は顔上げてくれる様になって…
ドンドン真似していたんだ…」
柾季の本音があふれてくる。
遥香も僕も黙って、聞いている。
(柾季の気持ちが伝わる…大事にしたい…この気持ち)
「柾季!僕らがいない時、翼女ちゃんと二人きりで会ってみる?」
歩睦は遥香ノートにない提案を言ってみる。
「はー二人きり!!無理!無理!無理!」
柾季の慌てた声が聞える。
「否定的だね」
予想通りの反応だが、笑うしかない歩睦。
「当ったり前だろ!せっかくの話せる友達の地位壊したくない」
柾季の本音がまた聞けた。
(なるほど、だから、真似か…)
「じゃ!これからも、遥香の従姉弟の地位で良いの?」
歩睦にしては少し、強めな言い方をする。
「そ、それは…少しは進歩したい…」
柾季は素直に答える。
「じゃ、橘様の夜会こいよ!」
遥香ノートに書いてある《橘様の夜会招待》を話し始める。
「地元じゃなくても、大丈夫なのか?」
イヤではなさそうな声の柾季。
「多分…だぃ…」
歩睦が遥香に目で聞く。
遥香が親指と人差し指で小さな円を作って笑う。
「うん!大丈夫だ!」
自信持って返事をする歩睦。