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夜会で踊りましょ!!

第8章 浴衣は勝負服!

「探していた『花器』が見つかったんだって!」

「へー。じゃ直ぐいかなきゃ!」

「母さん的には、直ぐに行きたいと思うよ。でも、オジさんに遥香を預かっているから、そうも行かないよ」
 柾季は朝の事を思い出す。


 遥香の家をでる時、遥香の父が「最高の物を選んでやってくれ!」と迫力のある声で泣いていた。


「『自分も一緒に行く』ってダダるし…ねぇ」
 遥香も思い出して苦笑する。

「あの。何かございましたか?」
 綾郷が柾季たちに、声をかける。

「あ。いえ。すいません!母は華道の事になると、他が見えなくなります。お騒がせしてすみません」
 柾季は、何度も申し訳なさそうに頭を下げる。

「お気遣いなく」
 優しく微笑む綾郷は広げた小物を隅に寄れる。


「おばさん。小物とかは日を改めて見に来ましょう?浴衣を着て選びたいし!」
 一喜一憂している柾季の母に話しかける遥香。

「着てから選ぶぅ?」
 遥香の提案を聞いて考えている柾季の母。

「それに、私。午後から駅前のデパートで橘姫の絵画展を友達と見に行く事にしてますから。帰りは電車に帰ります」
 笑顔で言う遥香。

「おばさんも一緒に行くわよ」
 弟との約束を遂行しようとしている柾季の母。

「母さん。花器早く見たいんだろ?俺がちゃんと、遥香を家まで送るから、行っておいでよ!」
 柾季が遥香の意見に乗る。

「はー!さすが我が息子!いい子ね」
 柾季を豪快に抱きつく母。

「や、やめて!折れる!」
 どこの骨がなったのか分からないが、抱きつかれた衝撃で骨がなる。

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