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夜会で踊りましょ!!

第9章 仲村のデパート

デパートの前で車が停まる。

「送ってくれて、ありがとうございました」
 遥香が助手席から降りようとする。

「あ、まって!遥香ちゃん」
 柾季の母が呼び止める。

「はい?」

「これ、お昼と電車代!」
 柾季の母は遥香に壱万円札を手渡す。

「わぁ、こんなに!いいんですか?」
 遥香ビックリしている。
 中学生でなくても、福沢諭吉は大金。

「おばさんの都合で、バタバタさせちゃったもの。
後、お父さんには内緒よ。
遥香ちゃんを仲村に置いて仕事に行ったってバレたら大変」
 柾季の母は肩をすくめて言う。

「大丈夫です」
 遥香は、貰ったお金を財布にしまう。

「あ!ずるい!」
 柾季が後部席から文句を言う。

「柾季も一枚あげるわよ」

「やった!」
 嬉しそうに手を出す柾季。

「はい。一枚ね」
 柾季には千円札を手渡す。

「少ない!」
 金額見て驚く。

「十分です」
 笑う母。

 二人は車から降りる。

「二人とも、あんまり遅くならないようにね」
 柾季の母が運転席から一言言う。

「はーい」
 返事をする遥香と柾季。

「じゃ、またね」
 柾季の母は軽く手を振って、車でその場から立ち去る。

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