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夜会で踊りましょ!!

第9章 仲村のデパート

「あー同じ一枚でも桁が違う…この差はなんだよ」
 柾季はブツブツ言いながら、デパートに入る。

「半分くらいは、あげるわよ!」
 後ろから着いてくる遥香。

「マジで!絶対だぞ!」
 嬉しそうな柾季。

「お昼食べて、電車代引いての半分よ」
 遥香は、ニコッと笑う。

「やっぱりな…」
 ガクっと頭を落としデパートの通路を歩き出す柾季。

「で、その『橘姫の絵画展』って何階?」

「六階…でも、先にご飯…」
 遥香の鞄から音楽が聞える

 柾季は、遥香の言葉で腕の時計を見る。
 十一時を少し過ぎていた。

「もう、昼か…何食べるんだ?」 
 柾季は直ぐ後ろにいると思って、振向くと遥香がいない。


「は?遥香?遥香さーん!」
 周りを見回すと、誰かと電話で話をしている。

「たく…一言、言えよ」
 柾季は遥香の側に行く。


「……私は大丈夫…今?…仲村だよ!…うん。分かった!うん。じゃ、まだ後で!」
 遥香が電話を切る。


「一言声かけてよ…探すでしょ!」
 柾季が少し怒りぎみで遥香の前に立つ。

「あーごめん。段取りが変わったから、連絡とってたの!」
 携帯を鞄に入れて、立ち上がる。

「段取り?で、今の電話だれ?」
 柾季は不思議そうに遥香を見る。

「ないしょ!」
 遥香がにこっと笑う。

(なにか、タクランデル…)
 柾季の六感が反応する。

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