無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「『橘姫の絵画展』は食べたら行くの？」
　柾季はドリンクを飲みながら遥香と歩睦を交互に見ている。

「そうね。時間までゆっくり鑑賞しましょう！」
　遥香が鞄からパンフレットを出す。

「時間まで？他に用事があるのか？」
　柾季はズズズッとドリンクを飲み干す。

「あー、柾季に教えてなかったね…今日ね。
1５時からココの四階の着物屋さんが浴衣のショーがあるの！」
　遥香がポンと手をたたく。

「そっちがメイン？」
　柾季は膝を突いて聞く。

「そうよ！この時期色んな柄の浴衣を見れるから、楽しいのよ！」
　遥香の目が輝く。

「ふーん…じゃ、なんで『絵画展に行きたい』って言いったんだ？」
　柾季が遥香に質問する。

「さすがにRYOUGOでホントの事は言えないでしょ？」
　遥香が頬を掻きながら言う。

「確かに…ライバル店だもんな…」
　うんうんと柾季がうなずく。

「でしょ！」
　遥香はドリンクのストローに口をつけながら言う。



（でぇ…歩睦が来たのか…）
　柾季は遥香の話をニコニコ聞いている歩睦を見る。


（きっと、歩睦のことだから「良い物があるといいね」とか、言ったんだろうな…）
　柾季は少し、二人の会話を想像している。


（せっかくの展覧会デートを母さんの思いつきで、ナシになるところだったんだな…）
　柾季は心の中で歩睦に誤る。

（よし、お邪魔虫はサッサと退散しないとな…）

「なー俺は行かなくてもいいだろ？」
　柾季は“興味がないオーラ”を出している。