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夜会で踊りましょ!!

第10章 『橘姫の絵画展』

(橘さまの伝説かぁ)
 柾季は受付で貰ったパンフレットをめくる。


“昔々、都から離れた、土左(トサ)の国に葉多(ハタ)と呼ばれる地がありました”


(あーこの物語、懐かしい!!)


 葉多では有名な“橘姫の物語”


 内容を簡単に言うと・・・・

京(みやこ)から、この葉多に天皇の娘が領主として下った。

 その娘は死の病の天然痘にかかるも、命を守った強き器の皇女。


(タチバナと聞いたら、オレに取ったら、低木の庭木だよな(笑))

 柾季は絵よりこの橘さま紹介の小冊子に興味があった。


「あの、先進んでください…」
 スタッフが柾季に声をかけられる。

「…ぁ」
 柾季は後ろに数人の人が待っているのが見えた。

「すみません…」
 速やかに道を明ける。


(とりあえず、流れに乗らないとなぁ)

 柾季はゆっくり展示品を見ている。

(この絵の少女がこっちを向きそうだな)
 十二単の少女が微笑んでいる。

(あ、次は少し大人の女性だ)
 橘の花を頭に大きく飾った、女性の横顔。

(それにしても、描く人によって、姫の印象がちがうな)
 大きさの違う絵画を鑑賞していく柾季。

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