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夜会で踊りましょ!!

第10章 『橘姫の絵画展』

 柾季は絵画の作品の前で足が止まった

(き、きれいだ)

 大きな樹下で本を読む、和服の少女

(この橘の花が、リアルに綺麗だ)
 少女のまわりに咲く花が『橘の花』だとゆうのは、柾季ならすぐにわかる。

(おお、女の子も凄い、この表情が盲目を表現しているんだ)
 細部までリアルに描いているが、眼だけ、ぼやかす。

サインはT.Sとある。

(さっきの十二単の女の子も可愛かったけど、この女の子も可愛いな)


 柾季は鑑賞の流れに乗って、進みだす。


「お疲れ様でした。今後の参考にアンケートにご記入してください」
 出口のスタッフがアンケートをくれた。


(何々…この展覧会をいつ知ったか?誰と来たか?どうだったか?

 友人からの紹介。友人カップルと。とってもいい時間をすごせた。

こんなのでいいかな?回収場所はどこだ…)


 柾季が周りを見ながら歩いていると。


 回収の箱を見つけた柾季は、周りを良く見ず走り出した。

「……ぁ、失礼します」
 スタッフのルームの方に頭を向けお辞儀をしている人が見えた。


「わ!」
 柾季はその背中が見えた時には、止まってもぶつかる距離だった。

「きゃ…」
 出てきた人が尻餅をつく様に倒れる。

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