テキストサイズ

夜会で踊りましょ!!

第11章 橘様とは

「その!ネコって聞いて、このマグカップの事より、先に…いろんな事思って!!決して変な意味じゃなくて、その…えっと、どう説明したら良いのか!あぁ!」
 物凄くテンパっている翼女。

  ガラン!
 大きな音を立て持っていた鞄を床に落とす。

「きゃ!す、すみません!お騒がせしました」
 翼女は立ち上がって、店の中の人にひたすら頭を下げる。

 くっ くくく
 柾季は翼女の行動を見て笑いがこぼれてきた。

「あ…」
 柾季が笑い出したのに気付いた翼女が固まる。

「あ…ご、ごめんね…くくくっ…ちょっと壺張った…」
 柾季は声を抑えようと、口を閉めて体をヒクヒクさせている。

「わ、笑わないでください!」
 翼女は、真っ赤な顔して鞄を拾うと椅子の下におく。
 そして、何事も無かったようにマグカップの中のミルクティーをかき回し始める。

「怒った?ゴメンよ!ちょっと、意外だったから…」
 柾季は息を整えながら、自分のカップを引き寄せる。

「………」
 翼女の声が聞えない。

(黙っちゃった…気まずい…よし、独り言作戦だ)
「そう言えばさ!こうやって二人だけで会うの初めてだ…ね。いつもはさ、遥香と歩睦がいるし…」

「そ…そうですね…」
 翼女の反応した。

(よしよし、聞く耳はまだ失っていない)

ストーリーメニュー

TOPTOPへ