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夜会で踊りましょ!!

第11章 橘様とは

「私が橘姫様をはじめて見たのも、准教授が父と一緒にこの原本を研究していた時だったの」
 笑顔の翼女。

「原本?古文書って感じの本があるの?」
 柾季が翼女に質問する。

「はい。何冊かありました」

「翼女ちゃんは読んだ事あるの?」

「読めません。ミミズ文字ですもの」
 翼女が困った顔をする。

「はは。ミミズ文字は確かに読めないね」
 柾季も困った顔をする。

「でも、挿し絵みたいな絵もあったので、外国の絵本のように見ていました…」
 翼女はコピーの紙を抱きしめる。

「昔も挿絵があったんだね」

「その中に小さな女の子を囲む女の人達を見たとき…橘姫って、とっても大事にされてたんだなぁって思って、それからこのお姫様の姿を描きたいってイメージが広がったんです」
 うっとりした表情の翼女。

(創作意欲がにじみ出ている…)
 柾季は心の中で呟く。

「今日の展覧会の絵とっても良かったよ」
 柾季が歩睦のような笑顔を作って翼女に伝える。

「ホントですか!ありがとうございます!和服って写真じゃ、シワとか…わからなくて…」
 翼女が、嬉しそうに言う。

「だから浴衣のデッサンしていたの?」
 急に呼び出された時の事も思い出す柾季。

「…あぁ…あれは…は、はい…」
 翼女が恥ずかしそうに言う。

(浴衣と奈良時代の服装って大分違う気がする…黙っていよう)
 柾季は心の中で呟く。

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