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夜会で踊りましょ!!

第11章 橘様とは

「他に調べたことがあったら教えて…」
 柾季が話をもっとしたくて言う。

「長くなりますよ…」

「大丈夫。僕は今、橘様の事が知りたい!」
 また柾季はオーバーリアクションをする。

「じゃ…さっきの一文に出てきた【疫】とは奈良時代に大発生した、天然痘だと思います」

(奈良時代……)
 柾季は陰陽師の映画を思い出している。

「天然痘は現代の医療では感知できる病気ですが、昔は、掛かると直らない【死の病】だとされていました」

「そうそう、確か藤原の三兄弟の病死や、長屋王の呪いだとかで不安定な頃だよね」
 柾季が話をあわせる。

「そうなんです!疫病も呪いじゃないかって、噂が流れていて、混沌とした頃に『弐名島の尾』とも言われていた【葉多】に『月より大きい』ともくされた、【黒星】が落ちました。

「黒星ってもしかして…」

「はい。星見の大社のご神体ですね。当時は摩擦熱で真っ黒な大石だったんだと思いますよ」

「そうだろうけど、なんか、クロボシって呼ばれると、嫌な気分だ」

「信仰の対象ですからね。心情はわかります…話ぃ進めますね」

「よろしく」

「その黒星が落ちてから、新たに疫病が発生の報告を恭仁京(くにのみやこ)で政をしていた天皇は、死の病を克服した娘を巫女として黒星の疫病を治めようと考え、葉多に赴く事を命じました」

「要するに、未知の物の調査をさせたかったんだろ?」

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