
薔薇はあいを囁く
第2章 薔薇の香りの麗人
「悪いけど、扉を開けてくれる?」
立人さんが近くのメイドさんに、そう言うと、メイドさんは、顔を赤らめて頷いた。
「はい、喜んで。立人さま。」
「ありがとう。」
立人さんが優しく微笑めば、彼女は更に顔を赤らませた。
てか、あたし、メチャクチャ恥ずかしい。
立人さんにお姫様抱っこされたままで。
バッチリと彼女と目があってしまった。
すると、きつく睨まれた気がした。
もしかして、このメイドさん、立人さんのこと好きなのかな?
そう思い始めたら、少し怖くなって視線を逸らすように、立人さんの首に顔を埋めてしまった。
