
薔薇はあいを囁く
第3章 薔薇の正体
引き出しの中に置いてあった写真たてを、取り出す。
父と母と僕とお祖父様が写っている。
僕が15歳の頃の写真。
両親が亡くなる1週間前の写真だ。
幸せだった。
もう一枚、古びた写真を取り出す。
幼い頃のあいの写真だ。
僕が両親の亡くなる直前に知ってしまった秘密があった。
「私たちは、このこの子の両親を見殺しにしてしまった。」と、父と母の口から聞いた。
その直後の突然の父と母の死も伴って。
幸せ惚けしていた僕には、衝撃的すぎて、この時から、僕の心は壊れ始めてしまったのかもれない。
