
薔薇はあいを囁く
第5章 男ともだち
この状況に、少なからずドキドキしてる自分がいる。
婚約者の立人さんがいるのに、不味いかな?
でも、須藤くんは、"友達"って言ってくれたし、大丈夫だよね。
連れて来られた場所は、学校の裏山。
そこには林の中に隠されたバイクが置いてあった。
しかも、新品のバイクだ。
須藤くんは、鞄をあたしに放り投げると、ヘルメットをあたしに渡した。
「被れよ?危ないから。」
「え?」
「免許取り立て。初心者マーク。これ以上言わせんな!」
「バイクも買ったんですか?」
「ああ?このバイクは、兄貴のお下がりだよ。たく、いちいち突っ込むなよなぁ。」
「でも、新車ですよね?」
「まあな。兄貴は、無駄に金と権力を持ってるからな…って。変な事言わせんな!」
「…す、すみません。」
「…ま、別に良いけどさ。いい加減敬語、やめろ。」
須藤くんには、どうやら年の離れた裕福なお兄さんがいるらしい。
そして、何度も敬語を直せと、あたしに言ってくる。
確かに、お友達なのに、敬語は変だよね?
「…わかりまし…ううん。わかった。」
すると、須藤くんは、にっこり笑った。
とても、優しい声で。
「いい子だ。」
って、頭を撫でてくれた。
