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赤い恋 ~sho sakurai~

第32章 さよなら





結「…、ご飯、作らなきゃ…」


朝、私はベッドから起き上がってリビングに向かった。


いつもより早いこの時間。


実際には『起きた』んじゃなくて『眠れなかった』。



結「…………ふぅー…、これで…、最後かなぁ……」


あれから私が考えて出した答え。


『ここを出ていくこと』


みんなを守るにはこれが一番だから。


今回の件は時間が経てば治まるかもしれない。


だけどそういう問題じゃなくて、私がみんなに関わり続けることでこんな風に色々言われちゃうのが嫌なの。


みんなは1人、1人が優しすぎるから、5人全員なんて私には勿体なすぎる。


最初からそうだったんだ。


私はみんなに近づき過ぎた。


みんなの優しいところに触れすぎた。


翔ちゃんを…、好きになった。



どれもこれも大切な思い出。


だから…………、

だからね?


思い出だけは持って行かせてください。


みんなの優しさはもうたくさんもらったよ。


私には多すぎるくらいたくさん。


だからね、そんなみんなを傷つけたくないの。


私は何も出来ない。


守ってあげることなんて出来ない。

私はみんなほど優しくなんてないから。


結「…………おいしい…って、言ってくれてありがとう…」


みんな、みんないつも『おいしい、おいしい』って食べてくれた。


私はその度にすごくすごく嬉しかった。


私がここにいていい理由みたいで。


とっても嬉しかった。






みんなに作る最後の料理。


今までみんなで笑った思い出をひとつひとつ、丁寧に思い出して、心をこめて。


最後で最高の料理になるように。



伝えきれないありがとうをいっぱいに込めて。




今でも鮮明に思い出せる、数々の宝物。


そうだよ…、みんなの…。

みんなの思い出は私にとって一番の宝物。



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