テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い 

 桜草の出逢い

 そっと手を伸ばしても、小さな白い蝶は微動だにせず花に止まったままだ。明(ミヨン)姫(ヒ)は全身に神経を集め、できるだけ気配を殺して花に近づく。春の穏やかな陽射しが惜しげもなく降り注ぐ広大な庭園の一角、今を盛りと咲き誇る牡丹園と白き蝶―、まさに一幅の絵画にも匹敵する光景である。
 明姫には別に蝶を捕らえようなどという下心はなかった。ただ、ほんのいっとき、その可憐な蝶を手のひらに乗せ、眺めてみたいという少女らしい欲求にすぎなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ