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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと

「どうして眠りたくないの?」
「そなたと話がしたいのだ」
 膝枕をしての状況でのこの科白は、聞きようによっては意味深だ。こういう科白をここで囁かれると、男が自分に気がある―もしくは少なくとも興味があると勘違いをする女もいるかもしれない。
 色事に疎いといわれているこの自分がここまで見事に心理・状況分析できるのだから、やはり、この男はある意味、油断大敵の食わせ物なのかもしれない、まったく意識せずに女心を動かし落とすすべを心得ているという点では。
 しかし、この天然のお坊ちゃんはそこら辺の微妙な空気を読めていないらしい。

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