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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第14章 第三話 【観玉寺の廃妃】  祭りの夜

「また泣かせてしまったな。今し方、二度とそなたを泣かせたりはしないと誓ったばかりなのに」
 ユンが笑いながら言い、袖から手巾を取り出し、そっと明姫の涙を拭った。
「二人きりなら唇を使えるが、流石にここでは人眼があるし、まずい」
「旦那さまったら」
 明姫が笑うと、ユンは頷いた。
「そうだ、そなたには笑顔がいちばん似合う」
 ところで、と、ユンが意味深な視線をくれた。
「何を祈っていたのだ。私が来た時、そなたはこれまで見たことがないくらいに熱心に祈っていた。あれを聞かぬことには、どうにも気持ちが落ち着かなくて困る」

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