身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第14章 第三話 【観玉寺の廃妃】 祭りの夜
思わず明姫がキャッと悲鳴を上げ、ユンが渋々手を放した。
「何だ何だ。良い雰囲気になっているのに、色気のない」
言いかけて、彼もまた足許を見て飛び退った。
「犬なのか?」
汚れ、もつれた毛の塊と思いきや、それはどうやら生き物らしかった。
「あら、お前、どうしたの?」
明姫がしゃがみ込むと、優しく声を掛けた。
そこに、おずおずと小さな女の子が近寄ってきた。
「あ、あの。お姉ちゃん」
〝お姉ちゃん〟と呼ぶところを見ると、明姫が宮殿を追放された廃妃とは知らないようである。実際、村人の中には明姫の身分を知らない者も多いのだ。
「何だ何だ。良い雰囲気になっているのに、色気のない」
言いかけて、彼もまた足許を見て飛び退った。
「犬なのか?」
汚れ、もつれた毛の塊と思いきや、それはどうやら生き物らしかった。
「あら、お前、どうしたの?」
明姫がしゃがみ込むと、優しく声を掛けた。
そこに、おずおずと小さな女の子が近寄ってきた。
「あ、あの。お姉ちゃん」
〝お姉ちゃん〟と呼ぶところを見ると、明姫が宮殿を追放された廃妃とは知らないようである。実際、村人の中には明姫の身分を知らない者も多いのだ。