テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第14章 第三話 【観玉寺の廃妃】  祭りの夜

 女の子の頭がこっくりした。お下げにした髪も顔も薄汚れているものの、綺麗な顔立ちの利発そうな子である。
「判ったわ。私が飼っても良いかどうか、和尚さまに訊いてみる。どっちにしても、この子をまた棄てたりするようなことだけはないから、安心して」
「ありがとう」
 小さな声で女の子はきちんと礼を言った。黒く澄んだ瞳には理知の光がある。良い眼をした子だと思った。
「あとは、そのぅ」
 ユンを見ながら、もじもじと身体を動かすのを見て、明姫は背後を振り返った。
「あの方に何か?」
「うん。私も灯籠に願い事を書いて貰いたくて来たの。あの男の人に書いて貰えないかな」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ