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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第14章 第三話 【観玉寺の廃妃】  祭りの夜

 この時代、身分の低い者であれば、まだ読み書きはできないことが多い。ましてや、女であれば、尚更学問には縁がない。読み書きを憶えるよりも労働、生きていくのを優先しなければならないのだから、当然のことだ。
 だから、明姫が読み書きできないと思われたのも仕方ない。ましてや、今の明姫はこの女の子と大差ない質素な衣服を着ている。
「判ったわ」
 明姫は気を悪くもせず、ユンに囁いた。
「あの女の子が旦那さまに灯籠の願い事を書い欲しいと言っています」
「私に?」
 ユンは最初は愕いたものの、気持ちよく引き受けた。

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