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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第14章 第三話 【観玉寺の廃妃】  祭りの夜

 赤ん坊を抱いた若い夫婦、孫を連れてきたらしい老人、恋人たちらしい若者たち。皆、粗末な服を着ているが、愛する者、大切な者たちと共にいる姿は幸福そうに見える。
「私は心しなければならないな。ソリのような可哀想な子どもを作らぬよう、もっとこの国を良くしていかなければならぬ。皆が安心して暮らせ、貧しさに喘ぐことのない国を作り、今、ここで家族や恋人と寄り添い合い幸せそうな笑顔を見せている者たちの―民の笑顔を守っていかなければならない。それが王たる私の務めだ」
 ユンの横顔は秀でており、たとえどれだけ身をやつしても、高貴な面差しは隠しようもない。王になるために生まれ育てられた、生まれながらの王者。まさに、そんな言葉がふさわしい。

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