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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第14章 第三話 【観玉寺の廃妃】  祭りの夜

「殿下、さるお方がこのように仰せでした。この国には、幼い中から食べることも満足にできない大勢の子どもがいます。民は働いても働いても暮らしは楽になりません。両班は搾取するばかりで、賤民は家畜のように扱われ人としての尊厳すら持てない有様です。そして、そんな世を変えられるのは殿下ただお一人だと」
「その者の言うのは確かに道理ではある。よほどの学識と教養を備えた者と見えるが、一体、誰なのだ?」
「それは」
 この場で慈鎮の名を出して良いものかどうか躊躇われる。

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