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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第15章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再生

「もう少し私を頼って下さいませ」
 明姫はヒャンダンを見た。ヒャンダンの愛嬌のある顔が少し淋しげに見える。
「何もかもお一人で背負おうとはなさらないで下さいませね。そのために、私はここに参ったのですから」
「ありがとう、ヒャンダン」
 明姫が立ち上がる。そこに丁度、小花がやって来た。大好きなご主人さまを見て、小花が盛んに尻尾を振る。明姫はしゃがみ込み、小花の頭を撫でた。
「淑媛さま、殿下は淑媛さまのことを大切に思し召しておいでですよ」
 ヒャンダンの声が頭上から降ってくる。明姫はゆるゆると面を上げた。真摯なヒャンダンの瞳が気遣わしげにこちらを見つめていた。

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