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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと

「今度は私が話しても良い?」
 明姫がわざと明るく言うと、ユンが笑った。
「そうだね。私だけが一方的に喋ってしまったから、今度は明姫が話して」
 そなたのことを何でも知りたくなったから―。真顔で下から見上げられ、また意味深な科白を囁くユンだった。
「マルやソルお爺さんのことよ」
「ああ、マルのことだな」
 ユンには想定外の質問だったようで、軽い愕きが顔に表れている。
「ソンドンって、誰? あなたとソルお爺さんの話には何度か名前が出てきたみたいだけど」
「ソンドン、か」
 ユンの端正な面が忽ち曇ったので、明姫は慌てた。

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