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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと

「気が進まないのなら、無理に話さなくて良いわ」
 幾ら彼についてもっと知りたいと思っても、他人には踏み込まれたくない領域というものがある。明姫自身が九年前のあの事件について誰にも話せないように。
「もう、止めましょう。この話は」
「いや」
 意外にもユンが真顔で首を振った。
「でも、ソンドンの名前を言ったときのあなたは、とても哀しそうだったわ」
 恐らく、これはあくまでも明姫の推量の域を出ないが、ソンドンはもう、この世の人ではないのだ。

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