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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第15章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再生

 足音を消して歩くのが内官であるのに、まるで床板を踏みならすかのような歩きぶりだ。ユンは一瞬、信じられないといった顔で維俊を見たが、特に何も言わなかった。
 その代わりのように、黄孫維が窘めた。
「どうしたのだ、そなたらしくもない。騒がしいぞ」
 維俊はちらりと父を見、すぐにユンに向き直り恭しく一礼した。
「それどころではありません。殿下、急ぎお目にかけたいものがございます」
「何だ?」
 ユンが眼を見開き、維俊を見つめた。
「観玉寺にいる洪女官より手紙が届きました」
 意気揚々と告げる維俊を憐れむかのように見返し、ユンは気のなさそうに言う。

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