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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第15章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再生

「山を吹き渡る風はまだ冷たい。寒くはないか?」
 訊ねてくる彼に、微笑んで首を振る。それを見て安心したかのようにユンは話し始めた。
「私の祖母が女官だったという話は知っているな?」
「はい、存じております」
 明姫が頷くと、ユンは素直さを褒めるように手を伸ばし、明姫の髪を撫でた。
 女官から側室となり、ついには後宮の頂点である王妃の座を射止めた稀有な女性、仁誠王后。その名は今も伝説のように女官たちの間で語り継がれている。若い女官であれば、誰もが国王の眼に止まり、仁誠王后のように玉の輿に乗りたいと夢見るのは無理もない。

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