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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第15章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再生

 美にして賢と謳われたように、賢夫人として影から王を支え続け、二人の王子と四人の王女に恵まれた。先代の王がその息子であり、ユンは仁誠王后の孫に当たる。 
「お祖母さまは桜をこよなく愛された」
 ユンはまるで祖母その人を見るように、懐かしげな視線で周囲をゆっくりと見回す。風もないのに、薄紅色の花びらがはらはらと散り落ちていた。
「あ」
 明姫は声を上げた。
 ユンが微笑んで明姫を見つめる。
「何故、ここに桜がたくさん植わっているか、その理由が判ったか?」
「はい、仁誠王后さまがお好きだったからですね」

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