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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第15章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再生

 飢えた獣のように狂おしげに唇を奪い合う二人の上に、無数の花びらの雪が降り注ぐ。肩に髪に、あるものは薄紅のあるものは紅色の雪は二人の忘れがたいひとときを惜しみなく彩る。
 啄むような口づけから次第に深くなってゆく。長い口づけを解いた後、ユンが明姫の耳許で囁いた。
「二度と離さない」
 その後もユンは明姫を腕に抱いたまま、桜を静かに見上げていた。既に嵐を思わせる突風は止んだのに、花びらはまだ思い出したように、はらはらと散っていた。


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