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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第15章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再生

 その十日後、漢陽から王の使者が遣わされた。使者は王命を厳かに読み上げ、盛装した明姫は端座し謹んで、王の御意を承った。
「廃妃金氏の罪一等を免じ、復位させるものとする。従二品淑儀(スゥギ)の位を賜り、後宮に戻ることを許す」
 使者の口上を頭を垂れて聞く明姫の頬はしとどに濡れていた。側に控えていたヒャンダンは声を上げて泣いていた。
 それから数日を経たその日、明姫を迎えに立派な女輿が寄越された。輿を守っているのは王の親衛隊から選ばれた精鋭数名と内官数名である。もちろん、その中には王の信頼も厚い黄維俊の顔も見えた。

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