身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第15章 第三話 【観玉寺の廃妃】 再生
今、明姫は感慨こめて振り返る。明姫の涙に濡れた瞳に、観玉寺の偉容が堂々と映っていた。春の空を背後に控え、鮮やかに塗られた山門が明姫の旅立ちをことほぐかのように明るい色合いを見せて立っていた。
この御寺で過ごした二年という年月を自分はけして忘れないだろう。彼女はここで様々な体験をし、真実と愛を知ったのだから。
この山門を、ここで出逢った人、過ごした一瞬一瞬のすべてを刻み込むように、明姫はしばらく山門を見上げたまま身じろぎもしなかった。
ややあって、想いを振り切るかのように、踵を返す。
―もう自分の心に嘘はつかない。
ヒャンダンがくれた言葉を胸にしっかり抱きしめ、明姫は再び輿の上の人となった。
この御寺で過ごした二年という年月を自分はけして忘れないだろう。彼女はここで様々な体験をし、真実と愛を知ったのだから。
この山門を、ここで出逢った人、過ごした一瞬一瞬のすべてを刻み込むように、明姫はしばらく山門を見上げたまま身じろぎもしなかった。
ややあって、想いを振り切るかのように、踵を返す。
―もう自分の心に嘘はつかない。
ヒャンダンがくれた言葉を胸にしっかり抱きしめ、明姫は再び輿の上の人となった。