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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第15章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再生

「ご出立」
 護衛の責任者を任された黄内官が声を上げると、輿が動き出す。明姫は固い決意を示すかのように、膝の上で重ね合わせた手のひらに力をこめた。
 明姫が身動きした拍子に、チョゴリにつけた灰簾石(タンザナイト)のノリゲが揺れる。都を離れていた間も、ずっと肌身離さず身につけていた品、ユンの贈りものだ。
 私の居場所はあの方の側にしかない。その想いを強くしながら、明姫は明けの空の清々しい色に染まった石を撫でた。更にその手はまだ膨らみも目立たない腹部へと乗せられる。

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