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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第16章 第四話 【永遠の少女】 愛しき者

 明姫は我が子を看取ることもできず、その死を知ったのは、既にウンが亡くなってからのことであった。
―何故、知らせなかったのです? 私はこの子の母なのですよ。
 いつもは穏やかで、滅多と感情を露わにしない明姫がこのときだけは泣きながら叫んだ。
―申し訳ございません。ご懐妊中の和嬪さまに万が一、病が移っては一大事ゆえ、大事を取らせていただきました。
 医師は這いつくばり、許しを請うた。明姫はもう誰の言うこともきかなかった。医師や尚宮を振り切り、ウンの小さな亡骸を抱きしめて号泣した。

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