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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第16章 第四話 【永遠の少女】 愛しき者

 生後十一ヶ月のウンが痘瘡にかかったのである。医療技術がまた未発達であった当時、この怖ろしい病で生命をあえなく落とす子どもは多かった。宮廷医どころか都でも名医として知られる小児科の医師たちが集められ治療に手を尽くしたものの、ウンの幼い生命の焔は燃え尽きた。
 この時、明姫は妊娠四ヶ月になっていた。そのひと月前に懐妊が判明したばかりで、身重の身体が痘瘡に感染しては一大事と病床の我が子の側にも近寄ることは許されなかった。
 痘瘡が死に至る可能性の高い病であると判っている以上、王の第二子を身籠もっている明姫の存在は最優先されるものであった。

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