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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第16章 第四話 【永遠の少女】 愛しき者

 誰かを好きになるということ、愛し愛されることの歓びもすべてこの男が教えてくれた。彼と出逢ったことに感謝こそすれ、悔いた憶えはない。
「明姫は今、ここで死ねと言われても何の躊躇いもないほど幸せです」
「―」
 ユンがハッとした表情になった。
 ややあって、彼の大きな手のひらが明姫の艶やかな髪を愛おしむように撫でた。
「不吉なことを申すでない。そなたが私の側からいなくなる。そう考えただけで、気が狂いそうになる」
「申し訳ございません」
 素直に謝ると、抱き寄せられた。ユンの身体に体重を預けながら、明姫は軽く眼を閉じる。

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