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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと

「明姫は何ゆえ、この事件の黒幕が領議政だと知っている?」
「それは―」
 口ごもり、視線を泳がせた。
「九年前といえば、そなたはまだ六歳の幼子だった。そんな幼い女の子が世間を騒がせたあの怖ろしい事件を知っているというのもおかしな話だけど、更に、その黒幕が領議政だと確信を持った言い方をするのはますます妙だ」
「あ、私―」
 しどろもどろになった明姫を見て、ユンが少し淋しげに笑った。
「良いよ。別に私は明姫がどこの誰かなんて、気にしない。今日、そなたは私に言ったね。私の正体を暴くつもりはないって。ならば、私も同じ科白をそなたに言おう」

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