テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第16章 第四話 【永遠の少女】 愛しき者

 と、たまぎるような悲鳴が静寂をつんざいた。
「ヒャンダン?」
 明姫は慌てて立ち上がり、ヒャンダンに近寄った。お腹が大きいため、走ることはできないのだ。
「どうかしたの?」
「和嬪さま(マーマ)、お褥に鼠が」
「え?」
 明姫は小首を傾げ、ヒャンダンの手許を覗き込んだ。ヒャンダンの視線を辿れば、絹の褥は掛け衾(ぶすま)がめくられ、敷き布団が見える状態だ。肝心なのは、その敷き布団の上に何か小さなものが転がっていることだった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ