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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第17章 第四話 【永遠の少女】 波乱

 波乱

 鼠の死骸事件の後、しばらくは何事もなく無事に過ぎた。二月に入り、明姫は妊娠八ヶ月を迎えた。この頃には腹部は急速に大きくなり、胎児の動きもますます活発になった。
 暦が二月に変わったばかりのその朝、明姫は身支度を整えた後、いつものようにヒャンダンの給仕で朝食を取った。
 その時、扉の向こうで控えめな声がした。
「和嬪さま、国王殿下よりの賜り物が届いております」
 明姫はヒャンダンと顔を見合わせた。
「入りなさい」
 声をかけると、ほどなく扉が静かに開き、二人がかりで大きな鉢を抱えた女官が入ってくる。

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