身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第18章 第四話 【永遠の少女】 謀(はかりごと)
「可愛い刺繍でございますね」
ヒャンダンはしばし明姫の手許を見つめていた。明姫はつと顔を上げた。
「どうしたの? 様子がおかしいわ」
顔を見る前から、判った。ヒャンダンとは長い付き合いだし、明姫は他人の顔色を見ることに長けている。いつものヒャンダン特有の纏う明るい空気が別人のように重く淀んでいた。
改めて視線を合わせると、ヒャンダンは座椅子(ポリヨ)に座った明姫と文机を挟んで向かい合う。明姫の背後には紅梅と白梅の花と鳥を対にしてそれぞれ描いた色鮮やかな屏風があり、傍らの紫檀の卓にはユンから贈られた清国渡りの珍しい水仙が芳香を放っていた。
ヒャンダンはしばし明姫の手許を見つめていた。明姫はつと顔を上げた。
「どうしたの? 様子がおかしいわ」
顔を見る前から、判った。ヒャンダンとは長い付き合いだし、明姫は他人の顔色を見ることに長けている。いつものヒャンダン特有の纏う明るい空気が別人のように重く淀んでいた。
改めて視線を合わせると、ヒャンダンは座椅子(ポリヨ)に座った明姫と文机を挟んで向かい合う。明姫の背後には紅梅と白梅の花と鳥を対にしてそれぞれ描いた色鮮やかな屏風があり、傍らの紫檀の卓にはユンから贈られた清国渡りの珍しい水仙が芳香を放っていた。