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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第18章 第四話 【永遠の少女】 謀(はかりごと)  

 ヒャンダンが退出した後、ユンは深い息を吐き出し、執務机に片肘をついた。
 洪尚宮の話はあまりにも信じがたいものだった。明姫の飼っていた愛犬の死因は病によるものではなく、毒殺だというのだ。
 小花の死から丸一日が経過していた。事は急を要すると判断したヒャンダンは今回も宮廷医ではなく、町医者のホ・ソンをひそかに呼び寄せた。彼は町医者ではあるが、腕の立つ医者として知られ、何より嘘と欺瞞が嫌いな男として知られている。
 患者は金に困っている貧乏人ばかりなので、治療費もろくに支払って貰えない。それでも、
―また明日な。
 と、嫌な顔もせず呑気に手を振りながら帰っていくという噂だ。

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