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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第19章 第四話 【永遠の少女】 嫉妬   

 亡くなる十日ほど前にも、中宮殿を訪れ、元気な世子を抱っこしたばかりであった。あのときは健やかそのものであった孫はもう、いない。いなくなってしまった。
 待ち望んだ初孫だったのに。将来は息子のユンの跡を継いで、この子がこの国の王となるのだと一時は愉しみにしたのに。
「兄上は世子の死をお望みであったのですか? 女狐の生んだ子でも、私にとっては血の繋がった孫ですよ」
 妹の冷えた声音に、領議政の声に狼狽が混じった。
「いや、別にそういうわけでは。断じて、それはありません。ですが、結果として世子はお亡くなりになった。であれば、その現実を利用しない手はないでしょう」

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