テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第19章 第四話 【永遠の少女】 嫉妬   

 賢嬪の一行に比べて、明姫はヒャンダンを初め数人の女官を連れているだけである。本来であれば、このようなときは格下の賢嬪が脇により先に明姫を通すべきである。しかし、明姫は身分に拘るような質ではない。
 ゆえに、このときも大所帯の賢嬪一行を先に行かせてやろうと考え、ヒャンダンに目配せして自分たちが止まり脇によけた。
 賢嬪はそれに対して礼を言うでもなく、傲然と顎を上げ、さも当然だとでも言いたげに明姫たちの前を素通りしていく。
 傍らのヒャンダンが顔色を変えるのに、明姫は小声で囁いた。
「良いのよ。これで波風が立たないのなら、その方が良いわ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ